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​師範挨拶

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師範  田島 東海男

 昭和48年4月から平成27年3月防衛大学校を定年退職するまで42年間にわたり防衛大学校剣道部の指導を続けてきました。現在は防衛大学校名誉教授兼防衛大学校剣道部師範として引き続き学生の指導に取り組んでいます。部長挨拶の中にあるように、防衛大学校は自衛隊の幹部を育成することを目的にした大学校です。学生は卒業後陸海空の幹部学校を経て全国にある部隊にそれぞれ分かれて国防の任務に就きます。自衛隊の幹部として任務を遂行していくためには人間的にも精神的にも立派に成長していくことが大切なことであり、必要不可欠なものであります。その手段として剣道は最も適していると思います。剣道の理念である「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」を目標にして日々稽古に励むことが大切です。そのためには精神面での強化と剣道の修錬を通じて強靱なる体力をつけることを目的にしています。幹部としての素養は、「知謀があり、信頼され、部下思いで、勇気があり、部下にも自分にも厳しい、智・信・仁・勇・厳を備えた」(超訳 孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルールより)自己を確立すること、そして克己心を養うことです。剣道を通して精神面を強化することが第一の目的です。次に、精神面を強化していくためには、日々の稽古の積み重ねが必要です。永く生涯にわたって日々精進を続けることが大切であるため、技樹的には基本を重視した練習内容で、剣道を正しく身につけていくことが第二の目的です。特に技術面においては、学生が卒業後全国どこの任地に行っても恥ずかしくない剣道を続けられること、また、任務の関係で一時期剣道から離れても再開したときには剣道を正しく行えるよう、指導に努めています。

部長  片岡 靖司

 防衛大学校剣道部は,前身である保安大学校の創設(昭和28年)以来の伝統を持っており,OB・OGの数は800名に至らんとしており,その先輩方は日本のみならず世界各地で活躍しています。学生部員数は70名前後であり,指導陣も師範である田島東海男先生(教士八段)を筆頭に,若手の教官や指導官,そして各種大会で好成績を上げてきた隊員たちという充実ぶりで,日々学生と汗を流しています。そして部の伝統的な雰囲気である「稽古の時は自他共に厳しく・激しく,そして稽古の時以外は和気藹々」のもと,お互いの技術の錬磨と共に,五常五徳の精神・克己心・平常心など精神面の育成にも力を注いでいます。周知のように,防衛大学校は日本の安全と国際平和に貢献する自衛隊の幹部を育てる学校です。そして,卒業後も剣道を続け,高段者を目指している先輩方の中には将官クラスが多いことも特筆すべきことでしょう。これは防衛大学校剣道部で求めてきたものが,単なる文武両道というのではなく,剣道で培った精神が本業邁進の支えとなり,また本業での充実が剣道の向上に活かされるという,「文武一致」を実践してきたからではないかと思います。私自身も情報工学科の教官であり,応用数学の研究・教育が本業ではありますが,本業と剣道とが,時間の切替え等による両立ではなく,お互いが不可欠な「拠り所」として相乗的に充実・邁進・向上できるよう日々勤しんでいます。岸田劉生は「画家がひとつの仕事をでもすれば,この世はそれだけ美しくなる。…中略…美術家はかくてこの世を美しくすることによって,この世を善くする」(美の本体:講談社学術文庫)と述べています。この「画家が絵を描くこと」を「防衛大学校で剣道をすること」に置き換えるのは,単なる理想論ではありません。剣道部の先輩方の中には駐在武官として活躍している人も数多くいます。そして,剣道が縁で外交が友好的にスムーズに運んだというような話は,現実にいくつも耳にしています。まさに「防衛大学校で剣道をすることで,この世は平和になる」と言うのは決して絵空事でもないのです。この高邁な意識を根底に持ち,日本全国いや世界中どこで稽古をしても恥ずかしくない,国際平和に貢献できるような剣道と人格を身に着けようというのが防衛大学校剣道部です。

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